励磁型スピーカーの測定
学術研究発表会にて好評を頂いた、FE-103En 励磁型スピーカーの測定です!
励磁型スピーカーとは、普通のスピーカーの永久磁石が電磁石になっているスピーカーです!
ガンメタで塗装された、ごく普通のバスレフ型エンクロージャーです。励磁型も無改造も全く同じ箱にしています。
今回は少々専門的な話も入りますが、最後までお付き合いくだされば幸いです。
測定方法はARTAを用い、励磁型、無改造それぞれの周波数特性/インパルス応答/歪率を測定いたしました。
励磁電流はオリジナルのFE103Enと同じ電気的先鋭度となるよう調整しています。
無響室を借りることができなかったので、測定値はあまり正確ではありません。しかし、全く同じ条件で測定しましたので、今回は励磁型と無改造との差異を見ていきたいと思います。
ではまず周波数特性から!
緑の線が無改造のFE103En、黒の線が今回励磁型に改造したスピーカーになりますね。
こちらはあまり差異は認められませんでした。励磁型の方が低域が増強されている気もしますが、誤差っぽいですね。
次はインパルス応答です!
一瞬だけスピーカーに電圧を加えたときの反応を、測定結果からシミュレーションしてみました。
色は周波数特性と同じです。
これには差異が出ていますね。
励磁型の方が素早く収束に向かっているため、インパルスに対する再現性は高いといえるでしょう。
最後は歪率です!
二次高調波と三次高調波が、基音に対して何%含まれるかを測定しました。
こちらがFE103Enオリジナルの歪率です。
それに対してこちらが励磁型の歪率になります。
これはなかなか面白い測定結果が出ました!
全体的に歪率が減っていますが、特に三次高調波が大きく減少していますね。
三次高調波は一般的に耳に刺さるような音といわれていますので、ボーカルがクリアで聴きやすいという励磁型の特徴はここから来ているのかもしれません!
さて今回の励磁型スピーカーの測定結果はどうでしたか? 正直私たちも歪率が減った原理が分かっていませんので、これから解明していきたいと思います。
これからも音研は新しいスピーカーに挑戦していきますので、よろしくお願いします!